「不登校は私にとって必要なことだった」 そう語る教え子の言葉をすべての人に伝えたい【西岡正樹】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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「不登校は私にとって必要なことだった」 そう語る教え子の言葉をすべての人に伝えたい【西岡正樹】

人生という道で迷った時に思い出してほしいこと

  

◾️今不登校になっている子どもたちに伝えたいこと

 

私:「今不登校になっている子どもたちに伝えたいことってあるかな」

ミキ:「その時の私は、不登校って何だか響きも悪いし、学校に行っていない自分が恥ずかしくて後ろめたい気持ちでしたが、今は全然そんなことはなくて、むしろ本当の自分の気持ちに気づいて、それを行動に移したのだと思っています。自分を大切にしている証拠です。またあの時は、すべてがどうでもよくなって、生きている意味なんかないんじゃないかと、深く暗いところにいた記憶があります。でも、落ちるところまで落ちたらもうそれ以上落ちません。だから、今は止まって、休んでください。疲れてしまった自分をたくさん癒してあげてください。そして、また、何か考える余裕が出て、動き出せる時が来るまで待っていれば、必ず光は見えます。そして何より、自分を信じてあげてください」

 

 ミキと話をして良かった。

 自分の人生は自分で決める。多くの人と関りながらも人に流されずに、自分で決めた道を進んでいくのだ。そして、道に迷ったら動かずに止まる(学校に行かないのも1つの選択)。自分が自分の行くべき道を見つけるために、引き返すことも必要だろう。そのうち、「あーこの道でいいんだ」と思える道を見つけられる。そうしたら、動き出せばいい。

 ミキと話をしているうちに、「不登校は私にとって必要なことだった」というミキの言葉は、不登校児に限らずすべての人に伝えたい言葉になった。「止まる」ということや、「何もしない」ことの大切さ。それは内向きの言葉のように感じるが、それらの言葉は、外向きの言葉(能動的な言葉)なのだ。

 「人は迷ったら止まればいい、時には引き返してもいい、何もしなくていい。そして、動けるようになったらアルマジロのようにまた動き出せばいいのだ」

(*南米パタゴニアで出逢ったアルマジロは、私が近寄ると「危ない」と感じたのだろう。「ピタッ」と止まり、石のように動かなくなった。そして、私が離れると、何事もなかったようにさっさと歩き始めるのだ)

 

文:西岡正樹

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西岡正樹

にしおか まさき

小学校教師

1976年立教大学卒、1977年玉川大学通信教育過程修了。1977年より2001年3月まで24年間、茅ヶ崎市内の小学校に教諭として勤務。退職後、2001年から世界バイク旅を始める。現在まで、世界65カ国約16万km走破。また、2022年3月まで国内滞在時、臨時教員として茅ヶ崎市内公立小学校に勤務する。
「旅を終えるといつも感じることは、自分がいかに逞しくないか、ということ。そして、いかに日常が大切か、ということだ。旅は教師としての自分も成長させていることを、実践を通して感じている」。
著書に『世界は僕の教室』(ノベル倶楽部)がある。

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